国語(中)部会

T.研究の概要

【研究主題】

 

「生徒一人一人が生き生きと活動し、確かな国語の力を育てる授業の創造」

〜基礎基本を身につけ、豊かに“伝え合う”生徒の育成をめざして〜
 

〈主題設定の理由〉

 激動する現代(未来)社会に対応し、豊かな人間性をもって、生涯にわたって学び続けるために、「生きる力」の育成がクローズアップされてから10年ほどが経過しようとしている。この間に導入された「総合的な学習の時間」の例を待つまでもなく、「聞く・話す」「書く」などのコミュニケーションの能力、情報を読み取り再構築する能力などが、あらゆる生涯学習の基盤として大切であり、基礎教科としての国語教育が一層重要視されることとなった。つまり、国語の力を高めることが、生涯学習の基盤としての学力を高めることにつながるということである。

 本部会でも、「言語活動に主体的・創造的に取り組もうとする生徒を育てるために」という研究主題のもと、授業における言語活動を主眼において研究に取り組んできた。特に、2004年度からは、「どんな力をつけさせるのか」「何をめざしてその授業をするのか」という点に焦点をあててきた。

 今までの実践や研究の蓄積を踏まえ、さらに社会的な要求などをかんがみて、今後は、「『生きる力』につながっていく国語の力をどうつけるか」「実際に“伝え合う”力をつけさせるためにどう工夫するか」という点を重点にしていきたいと考える。(ここでの“伝え合う”とは、「聞く・話す」ことのみならず、言語で表現されたものを読み取ることも含めた、広い意味での伝え合い〜言語活動のことである)その際、いままでに目指してきた一つ一つの国語力をどう統合し、実際に使える力として発展させていくかという視点が新たに必要となってくるものと思われる。

 新しい時代を人間性豊かに生き抜くために、基礎基本に裏打ちされた確かな国語の力をどう育てていくか。自分の思いや考えを適切に表現し、また、表現されたものを創造的に感じ取りつかみ取ることのできる生徒にするためにはどうすればよいのか。非常に大きなテーマではあるが、今まさにそれが問われているのであり、学校教育における国語教育の役割を考えた時、避けて通ることのできないテーマである。

 以上のような考えから、2007年度の研究主題を2006年度に引き続き上記のように設定し、積み重ねられた実践研究をもとに成果のまとめを行う年とする。

 

[研究仮説]

 それぞれの領域において、基礎基本を大切にしながら、単元構成や学習形態、学習方法を工夫し、多様な伝え合う活動を展開することによって、生徒一人一人が生き生きと活動し、確かな国語の力を身につけさせることができる。

[研究方法]

1.         教材について

 研究の経緯から、教材についての指定はしない。しかし、参考として各領域、次のような視点(ねらい)を持って教材を選定することが必要と考える。

 

(1)「話す・聞く」

 1年生:「情報を正しく共有するために」

     自分自身の考えを大切にし、友達やまわりの人と、考えを伝え合い、より広い視点で考える

 2年生:「互いを認め合うために」

     友達やまわりの人と考えを伝え合い、よいところを学び合う

3年生:「よりよい考えを導くために」

    友達やまわりの人の意見をよく聞き、自分自身の考えを深め、より広い視点で考える

 

(2)「書く」

 1年生:「内容が正確に伝わるように書く」

     自分の伝えたいことはなんなのか、どのようにすれば正確に伝えることができるのか、考えて書く

 2年生:「読み手を意識して書く」

     どのようにすれば自分の伝えたいことを相手にわかりやすく伝えることができるのか、考えて書く

3年生:「書きたいことを明確にして書く」

     自分の伝えたいことはなんなのか、どのようにすれば明確に伝えることができるのか、考えて書く

 

(3)「読む」

 1年生:「言葉と出会う」

     さまざまな種類の文章を読み、これまでよりもっと多くの言葉と出会う

 2年生:「言葉で広げる」

     自分のものの見方や考え方を、言葉によって広げる

3年生:「言葉を深める」

    より深い言葉の意味、使い方を理解し、自分の表現に役立てる

 

2.         市町村交流

 各市町村単位に地域サークルを組織し、各市町村の交流日等を利用しながら、研究主題解明に向けた研究交流を推進し、その成果を石教研二次集会に持ち寄る。

 

 3.石教研二次集会

 (1)当日は領域別(その他市町村の研究の流れの事由を優先させる)に「公開授業」を実施し、研究主題解明に向けた実践的取り組みを公開する。

 (2)午前中は授業についての話し合いを中心に研究協議を行う。

 (3)午後からは「話す・聞く」「書く」「読む」の領域別に分科会を持ち、部会員のレポートに基づき積極的な討議を行う。

 (4)全体会を開き、各分科会での研究討議の進め方や、今年度の研究の流れを確認する。

 (5)「レポート集」をファイル形式により作成する。  

 

4.         各種研究の実施

 研究主題解明や指導技術向上のために「研修会」を実施する。

 

5.         部会情報「一語一会」の発行

 日常実践の交流や研究資料の提供を行うために、部会情報「一語一会」を年4回、事務局が発行する。

 

6.         「実践集」「自主教材集」の作成

 「実践集」発行に向け、分野ごとの研究の成果をまとめるために、資料の収集を行う。また、主題に即した自主教材がそろった段階で、「自主教材集」の作成を行う。

 

7.         教育課程の研究

 日常の実践をもとに、部会員の意見・要望を集約しながら改善を行う。

 

8.         ホームページの更新

 部会員の交流や研究成果の発信などのため、ホームページの発展・充実に努める。

 

U.研究の経過と成果(二次集会より)

 

  研究の経過と成果

 

 今年度は、当別・新篠津を中心サークルとして公開授業を行い、次の三つの分科会を設定する中で研究協議を深めていくという取り組みを進めた。

   @第1分科会…二つの公開授業に基づき、その成果と改善点について協議

          ア.パネル・ディスカッション的な話し合い

          イ.フロアを交えての自由討論

   A第2分科会…各自が作成したレポート、研究成果について教科書教材を中心とした発表交流

   B第3分科会…各自が作成したレポート、研究成果について自主教材を中心とした小グループで発表交流

 

1.                      石教研二次集会での研究協議

 

(1)「聞く・話す」分科会

 

 

  授業者  大沼 愛先生(西当別中)

  題材   「私たちの一時間を企画しよう」

     〜プレゼンテーションを通して話し方や聞き方を学ぼう〜

  司会   乙幡 清二先生(花川南中)

  パネラー 小笠原 正恵先生(恵庭中)

       小木 正直先生(野幌中)

       小川 琢治先生(花川北中)

記録   本間 幹英先生(恵み野中)

 

 

 

 

@公開授業についての交流

 ア.授業者より

  今まで担当した中での課題を振り返り、メモの取り方(樹形図やマッピングなど)を学習ながら上達したと認識している。生徒は資料作りなどにも熱心に取り組んでいる。今回の授業では、プレゼンテーションの方法と資料の使い方を重視した。各班長の反省の中で、触れてほしいポイントが発表されていたのでよかった。

 

 イ.パネラーより

  プレゼンテーションの展開は難しく、綿密な計画が必要にもかかわらず、挑戦したことに意義がある。資料の作り方、班の生徒への観察力、発表の姿から生徒が生き生きと取り組んでいたことがわかる。班によっては、人を引きつける個性を発揮していた。コメント班として他の班を評価する場面では、よい点悪い点をしっかり指摘できていた。「話す・聞く」の力が見失われる可能性を懸念していたが、聞き手を意識した発表なっていた。

 

ウ.話し合いの要点

  a.話し言葉を聞きことばを意識させる機会になった。

  b.一人一人がメモをしたこともよい点、改善点についてどこかで扱ってもよい。

  c.「聞かせ方」「見せ方」「演じ方」の3つのポイントを押さえる。

 

A教科書教材の交流

  ア.評価の仕方、話し方・聞き方のルールなどについて話し合いが行われた。

  イ.シラバスについては、詳細になりすぎず、応用が利き、自分の足跡を振り返ることができるという点で効果的である。

 

B自主教材の交流

  ア.6〜7人の小グループ内で自主教材の交流、質疑応答を行った。

 

(2)「書く」分科会

  授業者  片山 健先生(弁華別中)

  題材   「創作川柳とそこからの表現の多様性をお互いに

味わおう」

  司会   山中 晴吾先生(中央中)

  パネラー 鈴木 ひとみ先生(向陽台中) 

       川村 香織先生(北斗中)

       梅原 健史先生(江陽中)

記録   井上 智裕先生(北斗中)             

 

@公開授業についての交流

 

 ア.授業者より

  一学期から、創作に関わって「春の川柳コンクール」や「電車内マナー川柳」、新聞記事などを題材にした活動を行っている。今回は発展的に対話形式を取り入れた。

また、書写に関わって、筆の扱い、手入れがしっかりできていない生徒もいたが、時間配分に気をつけながら授業をした。作品の絵を含めた一体感を大切にした。

 イ.パネラーより

   一つ一つ充実した活動となっていた。「穴埋め」だけでも当日は非常にスムーズで流れもよかった。新聞を活用することにより、言葉遣い、語彙などが豊かになっている。創作の仕方を工夫している生徒もいて、総合的な授業となっていた。楽しく充実感のある授業で、書写とリンクしていたことは、授業を組み立てる発想もよい。

 

ウ.話し合いの要点

  a.「書く」の授業にとどまらない活動が盛り込まれた充実した授業であった。

  b.活動の一つ一つに、非常に丁寧な事前指導がなされていた。

  c. 今年度の研究主題である「生徒一人一人が生き生きと活動」することを見事に盛り込んでいた。

 

A教科書教材の交流

  ア.生活体験文の題材選びは日常の体験から題材を拾い上げる。最近は、「部活」「身内の不幸」「休み中の旅行」がテーマになっている。自分の考えの変化をとらえて、文章化することが大切である。

  イ.成長のきっかけとしてとらえる中で、表現方法の工夫も行っている。

 

B自主教材の交流

  ア.6〜7人の小グループ内で自主教材の交流、質疑応答を行った。

 

(3)「読む」分科会

 

A教科書教材の交流

ア.「一読総合法」「シラバス」ワークショップ型授業などが話題になった。

イ、創作は、「行動」の根拠となる「心情」を考えさせ、読みを深める。

 

B自主教材の交流

  ア.6〜7人の小グループ内で自主教材の交流、質疑応答を行った。

 

V.教育課程の研究

 

教育課程を編成するうえで、研究課題の達成を目指した授業実践を各市町村の研究サークルを中心に行うと共に、実践を検証し、改善のために情報収集に努めた。

領域の指導事項を重点化して、単元設定をするうえで教科書掲載教材だけでなく、自主教材作りに関わって、地域の特性や生徒の興味・関心や学習経験等を参考にし、教材の工夫を行うことで指導の充実を図った。

 

W. 理論・実技研修会

 

1,理論研修会

(1)日時 6月25日(月)15:00〜16:30

(2)場所 石狩教育研修センター 

(3)講師 北海道教育大学附属札幌中学校教諭  市川 恵幸 氏

(4)演題 「 豊かに伝え合う授業について 」

(5)内容 @ 国語科の使命

      A 授業作りの前提

      B カリキュラム及び授業形態上の工夫

      C 授業実践紹介

 

2,研修会

 

(1)日時 11月19日(月)15:30〜16:50

(2)場所 恵庭市立恵庭中学校 図書室 

(3)講師 恵庭市立恵庭中学校図書館司書 大久保 有紀子 氏

(4)演題 「図書館運営上の工夫と中学生にお勧めの本の紹介」

(5)内容 @ 図書館運営上の工夫と中学生にお勧めの本の紹介

      A 参加者を交えたブックトーク

      B 読み聞かせ

 

X.研究の成果とまとめ(次年度の展望)

 

成果

 今年度は、「生徒一人一人が生き生きと活動し、豊かな国語の力を育てる授業の創造〜基礎基本を身につけ、確かに“伝え合う”生徒の育成をめざして〜」の主題に基づいて研究を進めてきた。「話す・聞く」「書く」「読む」の3領域で研究し8年が経た。

 二次集会では今年度は「読む」を除く2つの公開授業、各領域別の3つの分科会を設定した。公開授業に基づいた研究協議の話し合いの方法として、授業研究協議の充実を図るために、昨年度に引き続きパネル・ディスカッション的な話し合いを取り入れた。討議では、パネラーが授業の成果や問題点を述べた後、フロア(参加者)を交えた活発な意見交流が見られ、公開授業での成果を確認することができた。

また、領域ごとの分科会では、様々な実践の交流が図られた。第1分科会では教科書教材についての実践報告を行宇ことができた。第2分科会では、自主教材についてのレポート発表を小グループごとに行った。各分科会では、多くのレポートの交流がなされ、基礎的な学習の充実を図るだけでなく、発展的な学習活動に関わり、効果的且つ発展的な様々な実践資料の交流が図られていた。「話す・聞く」「読む」「書く」のどの領域においても、各学校での研究活動に工夫された点が見られた。

 

課題と次年度への展望

 二次集会後のアンケート結果から考察すると、今年度の研究の内容や取り組みの評価は、多数の会員が「よい」「おおむねよい」というものであった。また、研究協議の内容、方法や分科会の内容においても、多数の会員からすばらしい授業、充実した話し合いであった、日常実践に還元したいなどの声が寄せられ、おおむねよいと考えられる。

 また、二次集会にいたる理論研においても、主題解明に向けた意識付けという点を明確にさせ、研究主題実現に迫る講演内容を厳選し、研究主題につながるような講演を行うことができた。アンケート結果にも研究主題追究の大きな手がかりになったとある。

しかし、今まで行われてきた多くの貴重な実践研究、研究実践の集積については、各会員の自主的自発的活動に支えられてきており、今後は領域別での研究成果の継続的な積み上げを意識し、組織的な取り組みも考慮に入れていかなければならない。今日のめまぐるしく変化する社会の中でも使える確かな国語力、新しい国語の力を身につけさせるため、基礎基本の定着、真の生きる力を培い、応用力を高める研究の在り方をさらに追究していく必要がある。

                             ( 文責  目黒 和恵 )